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ゼフィリスの言葉に不安を感じたパシフィ カはシャノンの身を案じ、おもわずスィンに とびかかってしまう。だが事情を知らないシ ャノンがパシフィカのことをきびしく責めた ため仲違いしてしまう二人。そして責任を感 じたスィンがいなくなってしまった…。
脚本 大和屋 暁
絵コンテ 横山 彰利
演出 いとが しんたろー
作画監督 中本 尚子
杉藤 さゆり
前話で異分子であるスィンが登場した事で、その絆に微妙なズレを生じさせたカスール三姉兄妹。冒頭、スィンが来てからの自分たちが、普通ではない事に気づいているラクウェル。また疎外感を抱いているパシフィカの事をしっかり案じているのもさすがである。自分で行くのではなく、シャノンをパシフィカのもとへ行くよう促すのも、さすがは長女といった感じだ。
だがゼフィリスによりスィンが「普通ではない何か」である事を知らされてしまったパシフィカは、シャノンに駆け寄ろうとした彼女を突き飛ばしてしまう。ここでパシフィカが思わず口走った「私よりスィンの方が大事なの!?」「誰でもいいんでしょ!情けをかけて優越感に浸ってれば・・・。私でなくても、それで満足なんでしょ!」という言葉に、前回以来、彼女が抱いていた疎外感や嫉妬心が集約されていると言えるだろう。
パシフィカとの間に溝を残したまま、町に馬車を処分しに行くシャノン。前回の冒頭で馬車が脱輪していた事でもわかるように、追われる一行の旅は山岳地帯へと進み、より状況は厳しくなっていく。それと同時に逃亡資金が尽きてきているという台詞もあった。パシフィカ達は追っ手だけでなく、生きていくという現実そのものとも戦わなくてはならないのだ。
パシフィカと仲直りするために、乏しい持ち金の中から露天商でイヤリングを買い求めるシャノン。同じくパシフィカのために、道端の花を摘もうとしたスィン。皮肉にもその行為が仇となり、シャノンは馬車に跳ねられ怪我を負ってしまう。シャノンとスィンがイヤリングにこめた自分への想いを知ったパシフィカの中で、何かが変わろうとしていた・・・。
前回のコラムでは、スィンの登場で疎外感を抱いたパシフィカを、妹や弟が出来て嫉妬する幼児に喩えた。だが最初は弟妹に嫉妬し、親に反抗していた幼児も、「自分は兄、もしくは姉なんだ」という家族の中での立場を自覚するにつれ、弟妹をかばい、守り、導くようになる。
人は弱きもの、一人では生きていけないものを護る生き物である。そして護られる方にも、ただ護られるだけでなく、なさねばならぬ事がある。成長して独り立ちする事。そして自分より弱き者が現れた場合は、それを護る事だ。 このような「護る者」と「護られる者」で形成される共同体が家族なのだ。たとえ血縁がつながっていても、このような「護る者と護られる者の関係」が破綻していると、真の家族とはいえないのではないだろうか。「私もラクウェル姉みたいなお姉さんになれるかな・・・」と呟いたパシフィカは、今まさに「護られる側」から「護る側」に変わろうとしていた。シャノン&ラクウェルとパシフィカ、そしてスィンは血縁で繋がってはいない。だがこの瞬間、カスール三兄姉妹とスィンは、まさに「家族」になろうとしていたのだ。
だが「ピースメイカー」であるステアの登場により、物語は残酷な結末を迎える。スィンの正体は第六話で倒されたガリルによって解凍されるはずだった「ピースメイカー」、シーズだった。 「ピースメイカー」はシビリアン・タイプとアーティラリィ・タイプの二種で対を成す。シビリアン・タイプであるガリルは第四話で人心を操作し、《中継点》を創り出すという能力を見せた。ガリルと対になるはずだったシーズはアーティラリィ・タイプであり、普段は異相空間に圧縮されて保持されているほど強大な力を持っているようだ。両タイプともまだ真の力は謎に包まれており、シャノンのDナイトとしての能力ともども、その全貌が明らかになるのは先になりそうだ。
ゼフィリスによると、シーズの中にはスィンの人格はもう残っていないという。次にカスール三姉兄妹とシーズが再会するときは、敵として殺しあう運命なのか。パシフィカとシーズの耳に、互いの絆の証であるイヤリングをはめたまま・・・。
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