スクラップド・プリンセス
Story



隠れ里から地下道を抜けた三兄妹は国境を越え隣国、ギアット帝国にやってくる。初めて見る海に感激するパシフィカ。だが三人は突如現われた兵隊たちに包囲されてしまう。そして困惑する一行の前に獣姫という仇名を持つギアット帝国皇女セーネスが現われた…。

脚本     土屋 理敬
絵コンテ   増井 壮一
演出     沼田 誠也
作画監督  森前 和也



地下通路を抜け、隣国ギアット帝国に侵入したカスール三姉兄弟。初めて海を見た三人は息つく暇もなくギアット兵に囲まれる。兵を指揮しているのはギアットの第三皇女セーネス・ルル・ギアット。通称「獣姫」と呼ばれる彼女はギアットの危機管理組織《スカーレット》の局長も努めている行動派だ。

そんなセーネスは《スキッド》と呼ばれる要塞を持っている。《スキッド》はギアット帝国が造りだしたものではなく、五千年前にあった創世戦争の遺物らしい。ラインヴァン王国に幾つもあった遺跡と異なり、この《スキッド》は不完全ながら稼動状態にあり、カスール三姉兄妹はラインヴァン王国では見る事のなかった様々なメカニズムを目にする。いちいち自動ドアが開閉するたびに「うぉっ!?」と驚くパシフィカに萌え萌えだ。《スキッド》内に監禁されたパシフィカがモニターで見てた盆踊り(?)は、何を意味するのだろうか。「すてプリ」ワールドでは、しばしば「和風」が情景描写のアイコンとして登場してきたが、今後の展開が注目される。

《スキッド》の正式名称は自由軌道要塞ヴァンガード・シリーズ。この名もギアットの人々ではなく、五千年前にこれを使っていた何者かが名づけたのだろう。五千年前に《スキッド》を作ったのは何者なのか。そして創世戦争とは何なのか。

この鍵を握るのは、ゼフィリスと瓜二つの姿を持つナタリィという少女の存在だ。ギアット帝国の人々に《スキッド》の操作方法を教えた彼女は、五千年前の戦いで損傷を負い、《スキッド》のシステムに自己を移植。自己改造を繰り返してきたという。 ナタリィとの会話で、ゼフィリスも同じように自己改造を繰り返してきた事が示唆された。そして「我々は兵器だ」というゼフィリスの台詞。人の姿を持ちながら、人でない彼女たちは何者なのか。この第11話で提示されたヒントを整理してみよう。

@ゼフィリス、ナタリィともに《ドラグーン》と呼ばれる兵器らしい。ただしナタリィは、「もはや私はドラグーンではない」と言っている。二人が《ドラグーン》として完全稼動するには「主」の存在が必要だった。そしてゼフィリス、ナタリィともに、五千年前の戦いでその「主」を失っている。

Aセーネスがシャノンを欲したのは、完全可動する《ドラグーン》が欲しかったから。またナタリィは、シャノンの事を「ゼフィリスの新しい主」と呼んだ。この事から《Dナイト》であるシャノンは、ゼフィリスを《ドラグーン》として完全稼動させる事が出来ると推測される。ただし、ゼフィリスはシャノンの事を「あくまで代替にすぎない」と言っている。

B創世戦争には《ピースメイカー》も関係しているらしい。そしてセーネスは《スキッド》や《ドラグーン》の力を手に入れて《ピースメイカー》と戦おうとしている。スカーレットの副官エイローテいわく、《ピースメイカー》は「人間の上に君臨し、決して表には出ず、しかしこの世界を支配している人間以外の存在」である。

その他にも、ウイニアとレオ(そしてスーピー君)の再登場、パシフィカの母親であるエルマイア王妃の登場など、大きな転換を迎え盛り上がっていく11話。見所はたくさんあるが、ここでは《獣姫》セーネスに注目してみよう。

パシフィカに向かって「あんたと同じ、はみだし王女さ」と言い放ったセーネスは、彼女に帝位を奪われる事を恐れた兄たちに虐待され続けた。そんな彼女にとって、家族とは憎しみの対象でしかない。王室を追われながら、兄姉に愛されているパシフィカ。王室にとどまりながら、家族の温もりを知らないセーネス。副官エイローテの「似ているんです。あなたとセーネス様は」という台詞を聞くまでもなく、パシフィカとセーネスは表裏一体の存在なのだ。

この世界を「腐った世界」と言い放つセーネスは、世界中の人に命を狙われながらも「この世界が好き」と言い放つパシフィカに激しい苛立ちを覚える。それはシャノンとラクウェルという「家族」がいるパシフィカへの嫉妬なのかもしれない。そんなセーネスを「私だけは、守ってあげなければ・・・」と言い放つエイローテ。この関係を軸に、もう一つの“はみだし王女”の物語が展開されそうだ。セーネスが《スキッド》や《ドラグーン》の力を手にする事で創り出そうとする新しい世界。そこには一体、何があるのだろうか。

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