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聖都外れの山岳地帯に逃げのびたパシフィカたち一行。王城は半壊し、恐怖したペータシュタール将軍は全軍をあげて、廃棄王女の捜索にとりかかる。そんな中、野営のテントを張り終えた一行は、廃棄王女のつくった焼きそばを食べようとしていた……。
シャノンたちとの戦いにより、ステアを失ったソコムは彼が「主」と呼ぶ何者かに≪第一級神罰執行形態≫の使用許可を求める。≪第一級神罰執行形態≫の使用は大気圏内では認められず、引き下がるソコム。一人になった「主」は自らの巻き毛を弄ぶ。その巻き毛は、パシフィカのものに瓜二つだが・・・。
一方、ピースメイカーとの戦いを終えたパシフィカ達は、森の中で野営をしていた。パシフィカを城内から連れ出したオブスティネート・アロウの面々もまじえ、アニメ版すてプリ名物の「食事シーン」の復活。未だ王国軍に追われているとはいえ、つかのまの安息が戻ってきた。 料理や洗濯で相変わらずの不器用っぷりを発揮するパシフィカ。パシフィカに話し掛けられて「あー」「うー」と面倒くさそうな返事しかしないのに、洗濯にはマメさを見せるシャノン。ひさびさの日常描写の中に、クリスへの想いを垣間見せるウイニア、少しづつ感情を露にするようになったゼフィリスなど、個々の成長や人間関係の進展を伺わせるシーンも幾つか見られる。足の疲れを取るため、指の間に小石を挟むパシフィカのババくささに萌え(笑)。
夜が訪れ、レオとパシフィカは満点の星空を見上げる。二人は第2話のラストで、同じように夜空を見上げていた。あれから幾多の困難を乗り越え、二人も成長した事だろう。そんな中、王都を脱出して以来、着る事がなかったパシフィカの服から、ポロッと木札が落ちる。記憶を無くしてパメラとして生活していた頃、フューレと通った銭湯の下足札だ。
下足札を見たパシフィカが、「何だこれ」と言ってる事から、彼女はパメラとして過ごした際の記憶を失っていると思われる。そんなパシフィカの目から、とめどなく涙が溢れていく。なぜ自分が泣くのかがわからず、不思議そうにしていたパシフィカの表情が、嗚咽に歪んでいく。自分がなぜ泣いているのかわからないまま、いつしかパシフィカは号泣していく。
命を賭けて自分を守ってくれたフューレの事を、パシフィカが記憶回復と同時に忘れてしまったという事実は、ある意味では残酷である。あまりにもフューレが不憫だと思う人もいるだろう。だが、フューレはパメラ=パシフィカが、自分の死に打ちひしがれ、落ち込む姿など、見たくなかったに違いない。彼が望んだのは、パメラ=パフィシカが生き続ける事・・・。かつて軍隊で血に塗れた日々を送ったフューレの心を癒す、笑顔と明るさを持ち続ける事だったのだから。
レオとの「ごめんなさい。パシフィカさん」「違うよ、レオのせいじゃないって」という台詞も重い。一見すると、泣き出したパシフィカに戸惑ったレオが、訳もわからず咄嗟に謝ってしまったようにも見える。だが、レオの「ごめんなさい」という台詞が、フューレを死なせてしまった事にかかっていたとしたら・・・。レオがパシフィカを守り抜く事をフューレに誓ったように、パシフィカも生き続けなければならない。それが彼女の記憶の中に留まる事が出来なかったフューレへの、唯一のたむけなのだ。
パシフィカを追うピースメイカー側にも、同じく記憶を失った者、シーズがいる。「パシフィカ・カスールは、本当に我らがどうしても叩き潰さねばならないものなのか?」と呟くシーズに、ソコムは「戦闘に際して躊躇が生じるようなら、記憶消去の処置を申請するといい」と言い放つ。 シーズもまた、スィンとしてシャノンたちと過ごした時の記憶はない。だが記憶はなくても、その時の経験が影響を与え、人間に対して攻撃する事を躊躇してしまうのではないだろうか。ソコムはそう考えているようだ。 パメラの記憶がないパシフィカと、スィンの記憶がないシーズ。二人の対比を考えると、パシフィカが王都ザウエルでパメラとして過ごしている間、シーズがスィンだった頃を追体験するかのように、シャノンに付きまとっていたのは、何とも意味深である。
二人とも、失ってしまった人格・・・。パメラとスィンが過ごしていた、幸せな時間にはもう戻れない。だがパシフィカには還る場所・・・。自分が自分として、真に生きる場所、家族と仲間がいる場所があった。だがピースメイカーであるシーズには、それはあるのだろうか。
いよいよパシフィカの誕生日が、あと三日に迫った。妹を守るために世界を滅ぼした裏切り者になるかもしれない、というシャノンに対し、ラクウェルは「こんなに天気が良くて、風が気持ちよくて、洗濯物が真っ白で・・・。私はこの世界がこのまま滅びてしまうなんて、とても思えない」と呟く。ここ数話では、パシフィカを守ろうとするシャノンの活躍が目立ったが、シャノンとパシフィカを精神的に支えるラクウェルの長姉としての強さが出た名シーンだ。
そして水浴びをしようとしたパシフィカの前に謎の女が現れる。ソコムが「主」と呼んでいた女性だ。この世界を鳥籠になぞらえた女は、かつて神と人間の間にあった出来事を語る。星々を目指して飛び立とうとした人間と、それを「籠」の中に閉じ込めようとした神。そして神に抗った人間の事を。
「籠の中の鳥はやはり大空に憧れるの?」
「あなたは籠の中から出たい?」
そのように問いかける女が、自分の事をプロヴィデンス・ブレイカーと呼んだ事で、パシフィカは恐怖にかられる。彼女をそう呼ぶのは、ピースメイカーだけだからだ。パシフィカの悲鳴に駆けつけたシャノン達はその女の姿を見る事は出来ず、ドラグーンであるゼフィリスにもその存在は確認できなかった。パシフィカにしか見えない、彼女にそっくりの女。
「私にそっくりの・・・きれいな人」
「お前、言ってる事変だぞ」
とギャグで処理されているが、パシフィカに似た姿の者がピースメイカーの「主」となっているのは、一体・・・。
最後にこの回から流れ出したDVDのCM ≪ゼフィリス編≫で告知されたように、11月25日発売の≪すてPRIX≫第4巻にはシャノンのフィギュアが付くが、それと併せてアニメ版「すてプリ」世界を解説する副読本も封入特典として企画されている。微力ながら筆者も参加するので、是非とも読んでいただきたい。詳細は追って、当サイトでお知らせします。
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